医療情報

2009-08-19

抗うつ薬SSRI, SNRIの有効性比較

12種類の新世代抗うつ薬の有効性と受容性の比較:マルチプルトリートメントメタアナリシス
Comparative efficacy and acceptability of 12 new-generation antidepressants: a multiple-treatmetns meta-analysis Cipriani A et al. Lancet 373:746-758, 2009

概要
大うつ病に対する12種類の新世代抗うつ薬の効果を、マルチプルトリートメントメタアナリシスという手法を用いて、比較した。(12種類のうち 日本国内で発売されているのは フルボキサミン、ミルナシプラン、パロキセチン、セルトラリン  2009.9月にミルタザピンが発売予定 12種類のうちこれらの5種類に関する記事を記す)
1991-2007年に行われた117の無作為化臨床試験について、治療に反応した患者の割合(有効性)と治療から脱落した患者の割合(受容性)を評価した。
有効性の評価:治療開始8週目に ハミルトンうつ病評価尺度HDSR(Hamilton depression rating scale) のスコアが、治寮前の50%以上減少した患者の割合 あるいは 臨床全般改善度CGI(Clinical global impression)が著明改善または中等度改善と評価された患者の割合を指標にした。
受容性の評価:治療開始8週以内に治療を中止した患者の割合(脱落率)を指標にした。
重症度:HDSR-17(17項目版ハミルトンうつ病評価尺度)スコアの平均値 23.47±4.27 だった。(中等度のうつ病レベルに相当する)
ミルタザピンとセルトラリンの有効性は、フルボキサミンとパロキセチンよりも高かった。
セルトラリンは受容性が高く、フルボキサミン、パロキセチンよりも治療中止が少なかった。
セルトラリンは有効性、受容性、コストのバランスが良く、成人の中等度から重度のうつ病の治療開始時の薬剤として最適と考えられる。

付記: この論文はセンセーショナルでインパクトがありました。117編の臨床試験を使って、薬剤効果を互いに比較しあうという手法に驚きました。この結果は、中等症以上のはっきりとしたうつ病にSSRIやSNRIを用いる場合にはセルトラリンの有効性が高いということを示しています。
しかし、クリニックなど外来での診療場面では、軽症レベルのうつ病が多いし、不安障害などとの合併が多いのが実情です。上記5種類の薬は、効果や副作用について少しずつ特徴がありますので、症状の内容や程度にあわせて、適切に使い分けていくのが良いと思われます。
ちなみにそれぞれの薬の商品名を( )内に記します。
セルトラリン(ジェイゾロフト) フルボキサミン(ルボックス デプロメール) パロキセチン(パキシル)ミルナシプラン(トレドミン) ミルタザピン(レフレックス レメロン)